2020.03.05 Backstage Magazineにインタビュー記事

Aaron Tveit Would Like to Talk to You About His Process 

BY CASEY MINK | 5 MARCH 2020
Photographed by Emily Assiran on Jan. 17 in NYC at Fig 19

1月にロワーイーストサイドのバーFig.19でインタビューしていま(3月)記事が出たと言うことは、丹念に仕上げた内容なのかな。こちらもようやく訳しましたー。


アーロン・トヴェイトにもっと聞いてみましょう。俳優は、ありきたりな質問をよく受けます。たとえば「トヴェイタートッツ」と呼ばれる彼の熱狂的なファンや、彼の整った顔について。 しかし、1月の風の強い午後、彼はローワーイーストサイドのバーのブースに座り、両手を動かしながら、彼の現在の役「ムーランルージュ!」のロマンチスト、クリスチャン(映画ではユアン・マクレガーが演じた)のバックストーリーを数分に渡って語り始めました。その話は帝国主義や産業革命にまで及んだのです。

(ねぇちょっと、そのバックストーリーをすごく聞きたいんですけど…)

バズ・ラーマン監督作品のブロードウェイ版での彼のキャラクター開発は緻密で、トヴェイトを感情を揺さぶるミュージカルの役の卓越した表現者として確立させました。2003年の「レント」ツアーでのプロとしての最初の小さな仕事から、「ネクスト・トゥ・ノーマル」や「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」で賞賛を受けたブロードウェイオリジナルキャスト、それだけではなく「ゴシップガール」や「グレイスランド」、CBSの「ブレインデッド」での映像の仕事など、彼は何年にもわたってその技術を磨いてきました。

メディアやジャンルを問わず、トヴェイトはひとつの指針に基づいて活動しています。「すべては関係性にあります」と彼は主張しています。「演劇のシーンでも、テレビドラマのシーンでも、ミュージカルの歌でもそうです」いまやハーシュフェルド劇場での彼の公演は数ヶ月に及びますが、その指針のおかげで週に8回の「ムーラン・ルージュ!」の旅にも飽きることなく臨むことができています。 「毎晩が新しいものでなければなりません。だってやってくる観客はそれをまだ見たことがないんですから。無心でそこにいて、話している相手に沿って反応するんです」彼はちょっと間をおいて、目的を強調するための言葉を見つけました。「ただ心を傾けて聴くんです」 


このショーはとても激しくて、あなたは8月から参加していますね。ここから始めましょう。どれほど疲れていますか?

それにふさわしく疲れていますね。ブロードウェイのショーに出るのは2011年以来です。スケジュールがどれほど大変かをすぐ忘れてしまう。週に8回のショーをこなし、それを乗り越えるためには精神的にも肉体的にも相当な努力が必要です。ブロードウェイのショーを始めて4ヶ月目になると、「首が痛い、背中が痛い」と感じるようになります。全てを把握しなければならないし、疲れているけど、でもさっき言ったように、それは適切です。毎晩大変だけど、それだけの価値があります。そうあるべき分だけ疲れています。


演じるほどにさらにキャラクターについて学ぶことはありますか?

もちろん。週に8回のショーをするのが仕事です。初めて舞台俳優になろうとした時に言われるのは、毎晩、新しくなければならないということ。それが演技の基本です。でも、そうすることで、常に新しいことに気づくようになりました。昨夜、指揮をしていた音楽副監督とこんな会話をしました。彼と僕は必ずしもお互いにフォローし合っていなかったので、彼に 「僕は頭の中に5幕の劇を作ってあるんだ。考えていることや感じていることを音楽がどうサポートしているかについて」「あなたがそれを知ることはないけど」と伝えました。 それはロングランをしているうちに気づくことです。ステージを左に曲がって正面を向くやりかたは、すべて和音で構成されています。時間が経つにつれて、自分の思考プロセスと音楽が結びついてきたんです。  


ショーを「5幕劇」と考えるのはなぜですか?

やるべきことがあり、到達すべき水準があります。でも「なぜ」かを解き明かさなければなりません。ブロードウェイで最初にやった2つのショーは 「ヘアスプレー」と「ウィキッド」の後任でしたが、これは他にはない経験でした。というのも、ステージマネージャーがショーの中に入れてくれても、その「なぜ」が全くわからないからです。 それが自分にとってどのように機能するのかを見極めるのが仕事です。 自分で何かを作り出すわけではないけれど、あたかも自分が有機的に作り上げたかのようにする必要があります。 それが今の僕の仕事にも活かされています。 ショーを長く続けていると、それはより深く、より充実したものになっていき、それは本当に自分だけのものなんです。 これは観客にはわからないし、共演者にもわからないことです。毎晩2時間40分を通した自分自身のプロセスなんです。


キャラクターのためにバックストーリーを広く肉付けしますか?

いつも何かしらのバックストーリーを作るようにしています。繰り返しますが、それは僕だけのものです。観客が知ることはなくても、多くの空白を埋めることができると思います。舞台であれ、テレビであれ、映画であれ、どんな仕事をしていても、そういうことを心に留めていれば、たとえ台本の中では語らなくても、自分の中にリアリティとリアリズムが生まれます。それは何らかの形で演技に表れてくるはずです。 


台本の行間からバックストーリーを引き出しますか? それとも他の文脈上の手がかりからですか?

両方だと思います。台本の中で与えられた事実を取り入れるのですが、台本はそれぞれ違います。非常に事実に基づいたものもあれば、誰かについての情報がたくさんあるものもあれば、限られた情報しかないものもあります。でも、そこが面白いところで、想像力が発揮されるところなんです。何かを作るときには、自分の好きなように空白を埋めていくことができるギフトが与えられています。ここからここへそしてあちらへ行かなくてはならない、この人についてわかっていることはこれだけだけど、それ以外のことはあなた次第。すごく面白いですよね? 


それは「いまこの時に集中する」というよく知られた俳優の原則に役立ちますか?

そう思います。僕はこの8年間、主に映像の仕事をしてきましたが、今話しているようなやり方は、どのような演技にもとても適しています。カメラの中では、ただ存在するだけでいいんです。瞬間をキャッチするんです。(カメラの中での)アイデアが明確であればあるほど、フレームの中にいるだけで自由になれます。何かを見せる必要があるのとは対照的です。もしあなたがすべての知識を持っていて、シーンが何なのか、自分のキャラクターが誰なのかを明確にしていれば、それがカメラの中で読み取れることを信頼することができるようになります。映像の仕事を終えて舞台に戻ってきて本当に面白かったのは、今までやっていたようなアイデアや下準備の要素を舞台上で実践することです。『The Band's Visit』のカトリーナ・レンク Katrina Lenk を見たときに、その静けさに魅了されました。静けさというのは、とても難しくて、自分を信じてやるのが難しいものなんです。映像で仕事をしているときに感じる静けさを、舞台に持ち込むことを本気で考えてきました。


複数のメディアの間であなたのテクニックは変わりますか?

頭の中では最初はかなり違っていたのですが、時間が経つにつれて絞りこまれてきました。どのように働くのが好きか、どのように準備するのが好きか、その核心はまったく同じです。偉大なマイケル・ケインは、演技の本の中で基本的に「舞台で演技することは、観客にあなたのすべてのメカニズムを見せることだ」「映画での演技はそれを隠すことだ」と言っています。メカニズムをどう表現するか、しないかだけの話です。ステージに立つことは、クローズアップではなくワイドショットをするようなものです。 


それで、あなたは実際に「カメラを自分のところに来させよう」としていますか?

「ムーラン・ルージュ!」でそれについてよく考えました。なぜなら、僕のキャラクターは狂気の深淵に放り込まれるからです。たくさんのキャラクターたちと巨大なセットの中に。そこには彼が見たことのないものばかりか、一番大胆な夢にさえ思わなかったものもあります。僕は俳優として、ショーの冒頭でそれに勝るものはなかったので、自分を観客の目として位置づけて、観客が僕と一緒にこの世界に来られるようにしました。 クリスチャンは全く飽きることがありません。面白いことに第二幕はとてもオペラ的な感情の深みに行きます。決して簡単なことではありませんが、俳優としては、どんな気持ちでも、どんなに疲れていても、一本筋が通るような感じがします。でもショーの第一幕での、目を大きく見開いた無邪気さは、疲れているときにはとてもやりにくいんです。


あなたはこれらの感情を揺さぶるミュージカルの役で知られています。 どうやって歌を通して演技することを学びましたか?

素晴らしいミュージカル劇作家であり作詞家でもあるクレイグ・カーネリアに長年教わりました。彼はみんなに自分自身が歌っているのを聞くことを止めさせて、「どう聞こえるかなんてどうでもいい。歌の中で誰と話している?何をしようとしている?」と言うんです。それが全て演技になるんです。たとえば、「「サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ“Sunday in the Park With George”」の「フィニッシング・ザ・ハット“Finishing the Hat”」、誰もがこの歌が何であるかについて考えを持っています。僕が忘れられないのは、クレイグとクラスの誰かがそれに取り組んでいて、クレイグが言ったことです。「君はいま友達とバーにいて、付き合っている女の子の話をしているんだ」それを理解すると、他のすべてを感じることができます。想像力、自発性、自分のために働くことは何でも。この曲が何であるかがはっきりしていれば、どんな体験であっても、自分の好きなものをこの曲に取り入れて、パーソナライズすることができます。


若い俳優や経験の浅い俳優がそれに苦労しているのを見かけますか?

難しいのは、パラドックスのようなものですが、やった後でしか学ぶことができないところです。まさに鶏が先か卵が先かの状況です。演劇学校に行くべきかどうか聞かれると、私は「まあ、仕事をしながらでも学ぶ必要があることは何でも学べますが、仕事に就くために必要なことはどうやって学ぶんですか?」と答えます。自分が十分であること、自分がすることで十分であること、自分の中にあるもので十分であること、そして他のことをする必要がないことを信じなければなりません。日々戦いですが、あなたが捕らえる瞬間は本当に素晴らしい瞬間です。


自分が十分だということをどのようにして知ったのですか?

僕はまだそれを理解しようとしているところです。「レントRENT」をやるために大学を去ろうとしていた時に、父は「成功することを恐れるな」と言ってくれました。親が子どもに言うのは信じられないことですが、俳優としては誰かがただこう言ってくれれば。「君は、君自身で、一人の人間で、それで十分なんだ」 オーディションを受ける時は、自分らしくいてください。自分以外の何者でもないこと、そしてそれが何であるかを知ることができれば、浮き沈みに対処するのに役立つでしょう。あなたが仕事を得られない理由はたくさんありますが、そのうちの99%はあなたとは何の関係もありません。


それがあなたがオーディションルームに向かう時の考え方ですか?

僕はただ自分が何をしたいのかを見つめるようにしています。彼らがこの素材に何を求めているのかとは対照的に。マネージャーに言われたことがあります。「あなたはカシミアを売っていたのに、今日は彼らはカシミアを欲しがっていなかった」と。売っているものを売り続けてください。「No」が多くてそれに対処しなければならないけれど、ベストを尽くしたと分かれば、それ以外は手放すことができます。スタジオの3人がこの部分に何を求めているかはコントロールできないけど、その人たちに何を提案するかはコントロールできます。仕事を得ようとしているから難しいのは分かっていますが、これはマラソンです。そのマラソンでは、あなたが提案したいものを提案しないといけないんだ。彼らは今日はセーターじゃなくて、ジーンズが欲しかった。自分がやるべきことをやればいいんです。自分が売っているものを売り続けてください。


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